Now Exhibition

8人の写真家のそれぞれの写真展を約1ヶ月にわたって連続して開催します。

2024.10.08[火] → 11.03[日] 仙台アーティストランプレイス SARP

① 2024.10.08tue10.13sun

依田 俊哉「ポンサリー 雨緑樹林の交接」

SARP space A

ポンサリーは、ラオス北部の山地にある。私の脳には、東南アジア奥地の山村を訪ねたい欲求が堆積していた。たまたま、ネットでポンサリーの街の写真を見た。幾層もの稜線に囲まれ、山の上に街が広がっていた。3ヶ月後、私は街をベースに奥地の集落を訪ねた。林に囲まれた集落は、今も朝昼晩、薪で煮炊きをしている。[撮影データ]撮影地:ラオス・ポンサリー地方 撮影日:2024年2月、5月

依田 俊哉 Yoda Toshiya
1961長野県小諸市生まれ
1985宮城教育大学教育学部生物専攻卒業
1991建設コンサルタントで自然環境調査に従事
1921東北、長野、紀伊半島、奄美、沖縄にて写真撮影
2023写真集「琉球弧は島人を乗せてどこへ行く」
個展
2021「LANDSNAP そして森に還る」名古屋市、奄美
2023「琉球弧は島人を乗せてどこへ行く」石垣市、宮古島市、那覇市、仙台市、東京都四谷
2024「ポンサリー 雨緑樹林の交接」Gallery Niepce(東京都四谷)

https://www.yodatoshiya.com/

髙橋 親夫「それからの浜辺」

SARP space B

あの大震災から主に 11~12年を経た仙台市荒浜の海岸である。この歳月は深く傷ついたこの土地を癒してきた。新しい高い防潮堤が延々と続いている。その西側の砂浜には失われた松の防潮林のあとに植えられた黒松の苗が成長し、木柵を覆っている。海辺の植物の再生が広がっている。上空では鳥が鳴き、浜辺では釣り人やサーファーたちが海を楽しんでいる。潮風が海辺を歩く人たちにそよぎ、潮の匂いと繰り返す波の音が心を和ませる。一帯は既に新たな多くの生物たちのすみかとなっている。
 震災以前の風景は過去となり、目の前のこの風景が以前からの風景として続いてきたかのように錯覚してしまうほどだ。しかしここで暮らしていた人々にとっては、未だ過去になってはいない。あの震災後、間もなくこの地を訪れた時に抱いた人間の無力感と、私たちは大自然の限りなく大きな営みの中にいるということを私は思い出していた。(2022~2023年撮影)

髙橋 親夫 Takahashi Chikao
1947仙台市に生まれる
19741級建築士
2011第36回JPS展入選
2015京都造形芸術大学写真コース卒業
「3がつ11にちをわすれないためにセンター」活動参加
写真集「あの日につづく時間 2011・3.11」
個展
2017「タイル・ルート・トタン」せんだいメディアテーク
「神々のハマドオリ」SARP
2018「マテリアル」SARP
2019「数は語る」SARP
2020「地上を移動する目・上空からの視線」SARP
2021「ここにいた時は子供だった」SARP
2022「ものが語る土地」SARP
2023「双葉のふたたび」SARP
2024「普通という風景」せんだいメディアテーク
グループ展・企画展など
2021「浪江のきた道・ゆく道」せんだいメディアテーク「星空と路」
2022「ここにいた時は子供だった」せんだいメディアテーク「星空と路」
2023「地図に記された風景」せんだいメディアテーク「星空と路」

② 2024.10.15tue10.20sun

鹿野 颯斗「Egret Hill」

SARP space A

毎日のように写真を撮る生活を始めて3 年近くが経った。日々の生活の中で写真を撮ることは、撮るべきものを撮るのではなく、撮るべきものの外で何が撮れるのかということと向き合う時間でもあった。私が生まれ育ったのは、高台の上にある住宅地で、そこは 90 年代に開発された。開発は不景気のタイミングと重なり、空き地ばかりが広がっていた。文字通り何もない場所で、幼かった頃の私はよく雑草の生い茂る空き地を遊び場としていた。高台の端まで行けば一面に広がる田んぼを見渡すことができた。写真を撮る日々の中で、何もないと思えるこんな場所でも写真は撮れるのかもしれないと考えるようになった。この高台の住宅地とその周辺に広がる風景を撮ることは、風景を自明のものとするのではなく、再編され、その度に見出されていくものとして捉えるための実践でもあった。

アーティストトーク

10月19日[土] 14:00 - 15:30
鹿野 颯斗 × 菊池 聡太朗(建築/美術作家)
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

鹿野 颯斗 Kano Hayato
1996宮城県石巻市生まれ
2019東北芸術工科大学デザイン工学部 映像学科卒
2021石巻のキワマリ荘代表を引き継ぐ
個展
2019「Move」石巻のキワマリ荘
2021「偶然の波打ち際」石巻のキワマリ荘
2022「日付のある風景」石巻のキワマリ荘
2023「日毎の風景」石巻のキワマリ荘
グループ展・企画展など
2019「Reborn-Art Festival 2019」宮城県石巻市
2021「手つかずの庭 2021」石巻のキワマリ荘/ART DRUG CENTER/THE ROOMERS' GARDEN
2022「手つかずの庭 2022」石巻のキワマリ荘/ART DRUG CENTER/THE ROOMERS' GARDEN

寺崎 珠真「Heliotropic Landscape」

SARP space B

浅い森や林に潜る目的地のない探査。
錯雑した茂みの中を歩き回ると、視点の定まらない眩暈のような不安感に襲われ、自身の存在や意識も曖昧になっていくようだ。しかし、陽が昤々と降り注げば渾然としたものたちのざわめきが聞こえてくる。
そんなとき透かさずシャッターを切ると、自ずと風景が立ち現れる。

アーティストトーク

10月20日[日] 14:00 - 15:30
寺崎 珠真 × かんのさゆり(写真家)
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

寺崎 珠真 Terasaki Tamami
1991神奈川県生まれ
2013武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業
第8回「1_WALL」審査員奨励賞(増田玲選)
2017写真集「LANDSCAPE PROBE」蒼穹舎
2023写真集「Heliotropic Landscape」蒼穹舎
個展
2013「Rheological Landscapes」新宿ニコンサロン
2014「Rheological Landscapes」大阪ニコンサロン
2015「LANDSCAPE PROBE」コニカミノルタプラザ(東京)
2019「Heliotropic Landscape」Kiyoyuki Kuwabara AG(東京)
2021「Heliotropic Landscape」Alt_Medium(東京)
2023「Heliotropic Landscape」ニコンサロン(東京)
グループ展・企画展など
2015「ウルトラ・ピクニック・プロジェクト」作品展
“写真の使用法ー新たな批評性に向けて”
東京工芸大学中野キャンパス3号館ギャラリー(東京)
2016「リフレクション写真展2016」表参道画廊+MUSEE F(東京)

https://ttrsk.org/

③ 2024.10.22tue10.27sun

工藤 寛之「どこにも行けないどこか〜続・後方残置」

SARP space A

大津波が押し寄せたあの日、私は壊れた。
薄暗い家の中からどこにも行けない私を置いて、被災地の風景は加速度的な変化を遂げた。窓ので開かれてきた復興という名の華やかなイベント。そこでは強くしなやかに立ち上がった人々が美しい物語を紡いできた。だが、そこに加われなかった私に果たして、許される居場所はあるのだろうか。傷跡を隠し、痛みに黙し、ゆがんだ笑顔を振りまいて今日を生きる。災害が繰り返される時代にあって、もしかしたら同じような経験に傷む人がどこかにいるかもしれない。一つとして同じ傷はなく、痛みもまたその人の感性による。決して相対化され得ない生命のはたらきを、私は大切にしたい。内と外、わたしとあなた。二つの風景を交えた先に、穏やかな光を見つけたい。

アーティストトーク

10月26日[土] 18:00 - 19:30
髙橋 親夫 × 伊東 卓 × 工藤 寛之
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

工藤 寛之 Kudo Hiroyuki
1975横浜市磯子区生まれ

法政大学文学部哲学科、京都芸術大学芸術学部美術科写真コー ス卒業
1999年から仙台市在住

個展
2022「後方残置」SARP
2023「3.10.11〜二つの災をわたる」SARP
「不連続をたどる」SARP
2024「ここにあった風景、ここにある風景」せんだい3.11メモリアル交流館
グループ展・企画展など
2016「定めた点から観て測る」せんだいメディアテーク
2021「星空と路」せんだいメディアテーク
2022「せんだい21 アンデパンダン展2022」中本誠司現代美術館
2023「せんだい21 アンデパンダン展2023」ギャラリーエチゴ

伊東 卓「ミズクニ」

SARP space B

宮城で生まれ育った人間として、東日本大震災は言葉にできない何か決定的な影響があったと思う。
地震の数日後から被害の大きな海辺の集落に自転車で写真を撮りに出かけた。自分の生活の先行きも見えない状況だったがこの眼で見たかった。考えるよりも反応する日々の中、心の中に染み込んでくる感情。親和と違和。
自分はこの土地を離れないだろうという確信めいた思いと、土地からの拒絶のようなもの。
思いかえすと極端な感情だが、あの時はそれも仕方がないことだった。
私は主に太平洋戦争時に造られた軍事施設、また炭鉱跡など近代を巡る旅を重ねており、その過程でいつしか周縁という言葉が過ぎるようになった。
災害の被害、取り残された施設の残骸。
周縁は常に最前線であり、また最後尾に甘んじる。
今回の展示では過去に遡りつつ、この先人間がいなくなった後、風景は風景をどのように捉えるのかを想像するものとした。

アーティストトーク

10月26日[土] 18:00 - 19:30
髙橋 親夫 × 伊東 卓 × 工藤 寛之
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

伊東 卓 Ito Taku
1971仙台市生まれ
2020宮城県芸術選奨新人賞受賞
個展
1998「日没の温度計」エルパーク仙台展示ギャラリー
2001「あたたかい岸」artspace 宙
2002「town」artspace 宙
2003「新town」re:bridge edit
2006「遠い一群」artspace 宙
2009「たいら」ギャラリー青城

2011〜2018 「ROOMS Ⅰ〜Ⅴ他」SARP、birdo space(塩竃)
2020〜2023 「光の穴 Ⅰ〜Ⅲ」SARP

グループ展・企画展など
2011二人展「311 以降」gallery COEXIST
2012「東北より」ニコンサロンbis 大阪
2022「光の穴」秋保の杜佐々木美術館&人形館

④ 2024.10.29tue11.03sun

沼田 つよし「CARGO」

SARP space A

車を走らせていると、どこにでもある、いつもと同じ、かわりばえしない景色の中に、ときどき自分の「みる」行為を揺さぶってくるものがあり、そういうものをとらえたいのです。
2019年春、国道沿いの畑で作業小屋にすっぽりおさまった「箱型荷台」に出会いました。本来トラックの荷台として、さまざまな場所に荷を運んでいた荷台が、いつのまにか、畑の片隅で、小屋の一部としてひっそりと再利用されている。人の「第二の人生」と重なってみえました。
青森、弘前、十和田…、山の中でも海のそばでも青森県内各地に「箱型荷台」はありました。
周囲の風景に溶け込みながらも、遠慮がちに自分の存在を主張しているように見えてきて、いじらしさすら感じるようになってきました。
CARGO は「貨物」を意味します。これまで車の上で大事なモノを各地へ運んできたのでしょう。動か なくなった「箱型荷台」を、車(CAR)で行き(GO)、探して撮りました。

アーティストトーク

11月3日[日] 14:00 - 15:30
沼田つよし × 城田 清弘(仙台写真月間)
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

沼田つよし Numata Tsuyoshi
1969青森市生まれ、青森市在住
個展
2008「ヴィジョン・オブ・アオモリvol.4 - 河口へ」国際芸術センター青森(ACAC)
2017「湾」青森県立美術館コミュニティーギャラリーB
グループ展・企画展など
1996写真研究室3人展 青森市民美術展示館「非日・日常」出品
1998N-unit 展 青森県観光物産館アスパム エネルギー館ギャラリー「restructuring」出品
2019青森県立美術館コレクション展2019–4「ローカルカラーは何の色?ー写真家・向井弘とその時代ー」「つづく」出品

2017 年から「N–LABO ZINE」として「first snow」シリーズや「crack」「GO!」などを制作 現在vol.13 まで発行
2018年から「ART BOOK TERMINAL TOHOKU」Cyg art gallery(盛岡)に出品

酒井 佑「Horizont」

SARP space B

潮の満ち引きというものは、月からの引力によって起こる現象である。
今日も私は、その現象を確認するため、霧の立ち込める海で撮影を開始する。

酒井 佑 Sakai Yuu
1980長野市生まれ
2001東北芸術工科大学 大学院 芸術工学研究科デザイン工学専攻修了
個展
2013「Horizont」SARP
2014「Horizont」SARP
2015「Horizont」SARP
2016「Horizont」SARP
「Horizont」アートギャラリー杜
2018「Horizont」SARP
2020「Horizont」SARP
グループ展・企画展など
2014「1st international Compact Photography Exhibiton」Puertas de Castilla

Access

仙台アーティストランプレイス SARP

仙台市青葉区錦町1-12-7 門脇ビル1F
TEL 022-222-0654
平日・土曜11:00-19:00 日曜 11:00-17:00
定休日 月曜 駐車場 3台

Contact

仙台写真月間事務局

仙台市若林区六十人町28
TEL 070-4011-9094